一軍を尻目に、酷暑を吹き飛ばすような快進撃を見せているのが、矢野監督(49)率いる二軍である。
昨年は52勝60敗10分けで、首位と8ゲーム差の最下位だったが、今季は開幕から好調を維持。限定ユニホームを着用するイベント「ウル虎の夏」では一軍が1勝4敗と苦戦しているのとは対照的に、二軍は20日から行われた同イベント期間中に中日を3タテ。7月の公式戦は実に9勝1敗1分けと絶好調で、通算47勝29敗5分け。2位ソフトバンクに3ゲーム差をつけて首位を快走。パ球団の編成担当によれば、「ウエスタンはイースタンよりもレベルは上。ソフト、広島、オリックスは若手有望株がゾロゾロいます」というから、二軍だからとバカにはできまい。
矢野二軍監督の戦い方は明確だ。チーム防御率はリーグトップの2.93。しかも、チーム打率はリーグ3位の.249ながら、361得点はリーグ1位だ。
「快進撃を支えているのは、矢野監督が掲げた走塁改革です。今年のチームスローガンは『執念』。矢野監督はこれを『積極性』に置き換え、次の塁を狙うという意識づけに成功。選手は準備の重要性を認識しつつある。120盗塁はリーグ断トツで、新人の熊谷、島田ら足がある選手もいる一方、この日は一軍で活躍した北條は決して足は速くないが、出塁したら牽制球をもらう。相手チームは阪神の『足』を過剰に意識している。一軍とは違って攻撃の主導権を握り、効率よく得点しているのです」(在阪のマスコミ関係者)