アレクシオス「と言うか巨大な災厄っていうのは、だいたい前兆無しで来るから被害がデカイんだ」
アプリコット「でも兄貴、あたしたちが今まで遭遇した『予想だにしない事態』の数って……」
アレクシオス「言うな、考えないようにしてるんだから」
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ザイウス「……一番近いのは、馬車の轍（わだち）ですかねぇ？ これを牽いているはずの巨馬の足跡が
見当たらないことを除けばですが。方向転換の跡の付き方に加え、二条の痕跡の間隔が
常に一定で、その掘り返しかた自体も獣や魔物のそれとは思えないほど規則的です
とは言え車輪を歯車状にする意味は、どうにも理解しかねますが」
ヴィーヴィ「歯車みたいな車輪付きの要塞じみた馬車を、ドラゴンが飛びながら牽くってメルヘンよね？」
アレクシオス「それでやってることが畑荒らしじゃ、大山鳴動して鼠一匹にも程があるだろう
情けなさ過ぎて涙も出んぞ、ドラゴンも御者も即日転職待ったなしだな」
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アレクシオス「……しかし本当に派手な跡だなこれは、追跡して根城を夜襲できないか？」
セレナ「縦横無尽に動き回っているようなので、それは少し難しいかも知れません」
ヴィーヴィ「存外にやる気みたいだけど、勝算とかあるの？」
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アレクシオス「戦闘用の馬車、要するに戦車（チャリオット）なら王道の対処法がある、御者を殺れば良い
それに場所も開けた平地じゃない、木々や岩など障害物も多い。勝機は十分あるさ」
セレナ「そして御者を叩き落とす、飛び技となると私の出番というわけですね（笑）」
ヴィーヴィ「と言っても、岩石を踏み砕くほどの重装でしょ？ 素直に御者を狙わせてくれるような
ヤワな作りじゃなさそうだけど。鉄の幌で御者のカバーくらいしてそうじゃない？」
ザイウス「ですが依頼を放棄するにしても、正体を掴まないと言い訳が立たないのも確かですからねぇ」
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