メンマ職人の朝は早い。 ここタクケンでメンマ作りを生業とする陳さんの一日は 材料の割り箸の選定から始まる。
「割り箸ってね、同じようでも割り具合で違うんですよ。同じ太さ、同じ重さのものを揃えないと、いいメンマにはならない」
厳選した割り箸を陰干しした後、いよいよ漬け込みに入る。ここでメンマの味が決まるという、大事な工程だ。
何代にもわたって受け継がれてきた、秘伝の漬け汁を扱う陳さんの手つきは、慎重だ。普通のメンマは、
漬け込みの期間は十日ほどだが、陳さんのメンマはそれが半年にも及ぶ。陳さんの今の悩みは後継者難だという。
「手間はかかるし、そう儲かるもんでもないから無理に継げとも言えんしねぇ…」
メンマ作りに打ち込む陳さんにとって、日々の支えとはなんだろう?
「…食べた人が喜んでくれる、それが一番だね」