二季「あれ、おいたんさんどうしてここで寝てるんです?」
おいたん「……関係ねーだろ」
二季「ひどいですね。一夜を共にした仲じゃないですか」
おいたん「変な言い方すんな」
二季「もしかして、おうち追い出されでもしたんですか?」
おいたん「……」
二季「へぇ、ということは同居人がいらっしゃったんですね。なかなか隅に置けない人だ」
おいたん「同居人っつーか……」
二季「まぁ僕にとっては好都合です。劇団に入ってくれれば、こちらで住まいを提供しましょう」
おいたん「……」
二季「家具も全てお好み通りに揃えます。もちろん食事も」
おいたん「……」
二季「どうです?」
おいたん「……」
おいたん「あーっ、もうわかったよ。ただし気に入らないと思ったらすぐに辞めてやる」
二季「ありがとうございます、では早速参りましょうか」
おいたん「いや、ちょっと待ってくれ……」
二季「……?」
おいたん「公園のみんなに挨拶……」
二季「公園のみんな?何言ってるんですかおいたんさん、僕ら以外には誰もいませんよ」
おいたん「……」
二季「ほら、はやく行きましょう。あなたには次の講演から出てもらいたい」
おいたん「あぁ……」
それから俺の人生は180度変わって、ミュージカルに明け暮れる日々となった
というより、360度まわって元の生活に戻ったと言った方がいいのだろう
メンバーとの仲もそこそこ
昔いた劇団の環境よりは遥かに良い
女「そう、前を向いて立ち上がるのっ!」
おいたん「あぁ、僕が悪かったセニョリータ……」
女「この手を取って!一緒に歌いましょう!」
女「過去を振り返っては~♪なにもないのよ~♪」
おいたん「未来の道を歩いて~♪」
女「そうっ!私たちにしか見えないもの~♪」
おいたん「僕らにしか見えないもの~♪」
女「これからも、一緒にいてくれる……?」
おいたん「イェエエエエエエアアアアアアアアアアッ!!」
デンッ!
観客「ウオオオオオオ!!」
おいたん「ありがとー!ありがとー!」
ーーーーーーーーーーーー
ホームレスから一気にスターへ
俺の物語はこれで終わり……
というわけではなくて
劇団に入団してから数年たったある日、俺の人生はまたも180度変わってしまう━━
おいたん「倒産?」
二季「うーん、本当に残念なことに……」
おいたん「いや、説明しろよ。どういうことだ?」
二季「簡単に言うと、僕がやった不祥事が全てバレてしまったんです」
おいたん「は……?」
二季「結構色々やらかしてますからね、僕。あの議員を金で貶めたり、あの実業家を東京湾に沈めたり」
おいたん「……」
二季「ここまで悪評ついてしまうと、おいたんさんも業界復帰は難しいでしょうねぇ……」
二季「終わるときはあっさりしてるというか、なんのために今までやって来たのかよくわかりませんねヘラヘラ」
おいたん「なんで笑ってられんだよ……冗談じゃねーぞ」
二季「とにかく、そう言うことです。僕はもうこの業界を抜けて、旅に出ます」
おいたん「……」
二季「じゃあ、あとは頑張ってください。ではまたどこかで」
おいたん「まじでか……」
現役中稼いだ金は、こいつと遊びまくってほとんど残ってない
おいたん「まぁでも、また戻るだけか。ダンボールたちまだ生きてんのかなぁ」
ーーーーーーーーーーーー
どれだけ贅の限りを尽くした生活をしてようと、変に体は覚えてるもので
メンバーたちと最後の挨拶をかわした俺はすぐにあの公園へと向かっていた
おいたん「有り金はたった20万~♪」
おいたん「残り40年近くも残ってる人生~♪」
おいたん「……」
公園についた
おいたん「……」
無言でもと来た道を歩く
おいたん「……」
『工事中』
その三文字が、全てを表していた
おいたん「……」
おいたん「俺は~寂しくなんかー♪ないよ~ッ♪」
おいたん「だって~♪」
……
おいたん「だって……」
一人ぼっちのミュージカル
彼は今もどこかで、歌っているのだろう
おいたん「イェエエエエエエアアアアアアアアアアッ!!」
デンッ!
おわり
もうSS書くのやめるわ
読んでくれた人ありがとう
このIDをNGリストに追加する
今後このIDの書き込みやスレッドを表示したくない場合、以下のボタンをクリックしてください。
NGリストに追加
このスレッドは過去ログです。