安価でSS書くわ #280

280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/03/06(金) 23:14:00.19 ID:1fgLDAnU

住職(金さん、尻男。どれだけ言葉を並べようと、あなた方の苦しみが払拭されることはないでしょう)

住職(どれだけ謝ろうと、あなた方は私共を許してくれはしないでしょう)

住職(ただそれでも、私は私の罪を悔い改めたい。あなた方に背負わせてしまった重荷を解き放ってあげたい)

住職(ここで懺悔しても飢饉からは救われない、それでもいい)

住職(ただ一言)

━━申し訳なかった

住職(それだけ伝われば、私は救われます)

寺から響く懺悔の声は、三日三晩止むがなかったという。

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村が変わったのは、それから幾年を越えた冬のこと。
しんしんと雪が降る朝、いつものように漁に出掛ける漁師。

漁師「はぁ……。どうせ、今日も小魚数匹、それだけだ……」

漁師「……ったく早々に逝った奴等が羨ましいったらねぇや……」

漁師「……おっ?」

漁師「……なんでぇこの気持ち悪ぃ生き物……」

漁「うっうぇ……しかも大量にいやがるじゃねぇか……!」

漁師がその日上げたのは、見慣れない8本足の奇形な生き物。

女「ちょっとぉ……せめて食えるもの取ってきなさいよ!」

漁師「うるせぇやい!こいつしかいなかったんでぇ!黙って食いやがれってんだ」

女「どうやって食えばいいってのさ!」

漁師「知るかいそんなもん」

女「ったく……。仕方ない、甲羅剥いて味噌汁に入れて食おう……」

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ズルル

漁師「なんでぇこれ……」

女「……!」

漁師「うめぇええええええ!!!」

女「あっ、あんたっ!はやく村のみんなに分けてやんな!」

漁師「おっおう!俺のぶん残しとけよ!」

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住職「これは……」

漁師「一回だけ!一回だけ食ってみてくだせぇよ!」

住職「しかしどうやって……」

漁師「んなもん適当にペペーイとやってポーイですよ!」

住職「は、はぁ……味噌汁にでも入れてみましょうかね……」

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それで、そのカニはどれだけ取っても溢れるほど出てきて、たちまち村を救ったんだってさ。
町から交渉に来る人もいて、村にお金が入って、そのお金で医者をたくさん呼んで伝染病も治しちゃったんだって。
そう、それもこれも、全部カニのおかげだっておばあちゃんが言ってた。
住職はその後そのカニにこんな名前をつけたんだって。

どんな名前だと思う?

おわり

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