>>135
ブの唇がパの唇に重なりそうになった瞬間、再び辺りが薄暗くなった。
「あれ?」
そこはブの自宅のベッドだった。
慌てて辺りを見回す。もちろん自分一人だ。パはいない。
「なんだよ、夢かよ」
ひとりにしないで、置いてかないで、一緒にいたいとさっきまで言っていたのはパのはずなのに、
目が覚めたら全部夢だった。
急にいなくなったのはパの方じゃないか。
いや。
昔、営業先のビジネスホテルで。
さっきまでの夢の中の出来事のように、ふたりっきりのベッドの中で、パに抱きしめられて、さっきのような言葉を交わしたことがある気がする。
いや、やっぱり気のせいかもしれない。
そんなこと、ふたりきりでも、パが自分にするはずがない。
いや…。
ブは混乱した。俺たち、どんな関係だったんだっけ…?
ブは起きて仕事に出る準備を始めた。
……彼の残した思い出が、とにかく多すぎて、まだうまく処理しきれない。
終