... この平仮名は通常「 ha 」と発音するが、この目的で使われる場合、「 wa 」と発音する。
なぜ助詞の「は」は"wa"、「へ」は"e"と発音するのか
•回答日時:2002/11/06 20:49
ハ行音は、ひらがなが成立した平安初期には、文節の頭でも、文節中でも
ファ、フィ、フ、フェ、フォ
と発音されていました。
後に、文節中のハ行音がワ行音に発音されるという現象が起こります。この現象は「ハ行転呼(てんこ)」と呼ばれ、11世紀頃一般化したといわれています。この段階では、例えば
「腹は(はらは)」は、「ファラワ」
「人へ」(ひとへ)」は「フィトウェ」
「あはれ」は「アワレ」
と発音されていたわけです。
さらに鎌倉時代初期までには、ワ行音が変化して、
ワ、イ、ウ、イェ、ヲ
になりますが、それにつれて文節中のハ行音は、「ハ行転呼」を起こして、
ワ、イ、ウ、イェ、ヲ
発音されるようになります。
元禄時代(江戸時代)頃になると、文節の頭のハ行音は現代と同じく、
ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ
になったようです。
18世紀中頃になると、ワ行音が、
ワ、イ、ウ、エ、オ
に変化しますから、文節中のハ行音は、やはり「ハ行転呼」を起こして、
ワ、イ、ウ、エ、オ
と発音されるようになりました。助詞の「は」「へ」を[wa][e]と発音する事にはこんな背景があります。