(ジャン)機関長、お願いします!
ここの隔壁を開けてください!
早くしないと、フェイトさんが…!
(機関長)だめだ。
(ジャン)え…?
(機関長)今開けたら、危険物質で君たちもやられる。
これ以上はいかん。
(ジャン)そんな…。
だってこの艦(ふね)は、何百年も進んだ科学でできている、なんでもできる艦なんでしょ!?
フェイトさんを助けてください!
(機関長)この艦は超科学の固まりだ。
だが万能の神ではない。
わしらではどうにもできないこともある。
(ジャン)…いやだ!
そんなだまって見てるなんて!なんとかならないの!?
(機関長)浮上してガスを抜けば助かるかもしれん。
だが今浮上するわけにはいかんのじゃ。すまん…。
(フェイト)そうだ。今あがれば、戦艦のえじきさ。
(ジャン)フェイトさん!
(フェイト)じゃん、そこにいるのか?
(ジャン)今、助けるからね。
(フェイト)いいんだジャン。俺につきあっていたら、君まで死んでしまう…。
(ジャン)そんなの、いやだ!
(フェイト)船長の判断は正しいよ。
隔壁を閉めるのがもう少し遅れていたら、機関区全体にガスがまわっていただろう。
犠牲は少ない方が良い。これも運命だよ。
(ジャン)そんな!
(ナディア)ひどい。…お願い、ネモ船長、浮上して。
フェイトさんを助けて。どうして浮上しないの!?
この艦の秘密なんてどうだっていいじゃない!
浮上して白旗をあげれば戦艦だって撃ってはこないわ。
みんな助かるのよ!どうしてまた人を殺すの!?今度は仲間なのよ!人殺し!あなたも人間じゃないわ!!
(グランディス)それ以上言うと許さないよ。
一番辛いのは、ネモ船長なんだからね。
(ナディア)ひ、ひくっ、うゎぁぁぁ、ひくっ、うゎぁぁぁ、うゎぁぁぁ。
(フェイト)ナディア。この艦の科学は、まだ人間の手に余る。
人の目に触れてはいけないものなんだよ。
(ナディア)…でも。
(フェイト)わかってくれ、ナディア。
それと、ネモ船長のことは悪く言わないでくれ。あの人がいるから、俺はこの艦に乗っていたんだ。
ネモ船長、この艦の、俺たちの目的である、ネオアトランティスの壊滅は、必ず果たしてください。
お願いします。ジャン、元気でな。ナディアとは仲良くしろよ。俺の花を使えばばっちりさ。
(ジャン)フェイトさん。
(フェイト)じゃあな…。
…ブ──────────────────!!
※しばらくの静寂の後、警報音が鳴り響く。
(フェイト)いぃやだー!!!俺はまだ、死にたくない!!
お、俺にはまだやりたいことが残ってるんだぁ!お、俺にはまだぁ…。
(ジャン)フェイトさん!フェイトさん、フェイトさん!フェイトさん、フェイトさん、フェイトさん!
フェイトさん、フェイトさん…、フェイトさん…。う、うわぁぁぁぁぁ、あぁぁぁぁぁ、うわぁぁぁぁぁぁ…。