https://www.tdk.com/ja/tech-mag/knowledge/062
さて、古い音源がCD化される場合には、「デジタル・リマスタリング版」と称する盤が目につきます。もともとアナログレコード用に製作された音源をCD化する場合、その段階で「デジタル・マスタリング」処理は行なわれているわけですが、たとえば15年前に用いられていた発展途上のデジタル機器に比べると、今日のレコーディング機器ならびにDTR用ソフトウェアの機能や性能は、まさに桁違いのレベルにあります。
極端な話をするなら、アナログレコードそのものを音源としてパソコンに録音し、DTRソフトを用いてノイズ成分だけを消去した上で、各楽器の音量バランスやエフェクトを再調整……といった作業を行なうことで、楽曲やアルバム全体の印象をまったく変えてしまうことも可能なのです。
もともとデジタル・マスタリングで作られたCDであっても、事情は同じです。また、サウンドにはその時々の流行や時代性というものがあります。たとえばリズムセクションのビートが強調されたサウンドが流行っているなら、リマスタリング作業によってそのような印象に生まれ変わらせたり、まったく逆に録音当時の状況をいっそう強く印象付ける、といったことが可能なのです。
そのあたりをどうするか? は、ひとえにミュージシャンやプロデューサーの意向しだいです。