>警察が部屋になだれ込んだ瞬間、驚いた若妻は反射的に叫び、全裸のままベッドの上で怯える姿がカメラに映し出された。
>翌朝、その映像がメディアにリークされる。
>「国家安全党アムセックは邪悪な覗き魔だ! 自由の国アメリカを警察国家に改造しようとしている」
>SNSには非難の声が溢れた。
>「何の罪もない女性を全裸で逮捕するなんて!」「国家権力の暴走だ!」
>皮肉なことに、レイノルズは被害者として同情を集めたのだった。
>3
>飴国家安全党アムセック(AmSec)本部の会議室。
>スクリーンには、ニュース番組の映像が映し出されていた。
>「国家安全党の監視体制に批判殺到!」
>トレイシー・エヴァンズは椅子に深く腰掛け、ワイングラスを傾けた。
>「思ったより逆風が強いわね」
>赤尽くめの男が神妙な顔で答える。
>「レイノルズの人気が急上昇しています」
>「この国の民度はまだまだね。せっかく警察国家化を進める絶好の機会だったのに」
>エヴァンズはワインを飲み干し、ゆっくりと立ち上がる。
>「まあ、いいわ。また次の策を考えましょう」
>彼女は窓の外を見つめる。
>五番街には、アメリカ国家安全党アムセック(AmSec)への抗議デモが広がっていた。