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公開日:2019.11.22 | 最終更新日:2020.09.18
…マイナンバー制度の導入検討は民主党政権から始まります。民主党は国の借金を減らすため、様々な出費を減らそうとします。仕訳け作業等ありましたね。その中で非効率的な行政事務の改革が一つの論点としてありました。
■マイナンバーは厳しい利用制限が必須
ただし、共通IDであるマイナンバーを自由に利用されたら、公的機関に提出したデータが”丸わかり”になりかねません。国が個人情報を全て把握することは、人権抑圧を容易にすることにも繋がりやすい懸念があります。
そのため、他の省庁のデータを全部収集することのできないよう、使用目的と切り分けのルールを厳密に制限しました。
個人情報の目的外使用は本人の同意があればできますが、マイナンバーの目的外使用は本人の同意があってもできないのは、この人権保護の考え方に立っています。
■マイナンバーカードの当初の目的は”本人の証明”
こうして2012年、第180回国会に法案が提出されます。この時の法案に「個人番号カード」も存在しました。ただ、目的はマイナンバーの使用者が本人であることを証明するためだけのものだったのです。通知カードに写真がついているようなものをイメージして貰えれば良いかと。
“どこでも身分証に使える”とか、”保険証にする”なんてことは想定されていませんでした。あくまで「行政事務の効率化」が目的です。
提出書類を本人が持ってきたのかを行政機関が確認するためなのですね。間違ってもレンタルショップで身分証として使うことなど想定もしていませんでした。
しかし、第180回国会、野田首相の問責決議案が通り、この法案は可決されず、次の国会に回されました。そのうえ、第181回では衆議院が解散。日の目を見ることなく、この法案は消えていきました。
■マイナンバーカードの目的が変わっていく
そして、自民党政権においてマイナンバー法が復活します。行政事務の効率化と公務員の削減のために、それ自体は良いのですが、ここでマイナンバーカードに変質してしまいます。
法案に「個人番号カードの利用促進」という謎の文言が入ってきます。
そもそも、マイナンバーは人権保護のために厳密に使用が制限されています。利用促進のしようが無いはず。ここで、アクロバティックな発想が出ます。
マイナンバーカードのICチップ内に別のIDを入れ、それを使えばマイナンバーを使用したことにならないんじゃないか。
「”マイナンバー”カード」と言いつつ、ポイント付与や入館システムで使用するマイナンバーカードにはマイナンバーが使われていないのです。
マイナンバー制度とマイナンバーカード活用は全くの別物
マイナンバー制度とマイナンバーカードの活用は、本来全く別のものなんです。
マイナンバー制度は行政事務の効率化と公務員の削減のためのものですが、マイナンバーカードは行動履歴の収集のためのものに他なりません。
そもそもマイナンバーを使っていないのだから、「マイナンバーカードでポイント還元」というのもおかしな話です。
とは言いつつ、ICチップはマイナンバーカードの中に入っていますから、当然リンクは容易です。
(これが本当に法的に問題がないのか、私にはよくわからないんですけども)
ここまでが、マイナンバー制度とマイナンバーカードの発案から現在までの大まかな経緯です。