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国葬と法治主義:わが国の法状況の整理
高橋, 明男
阪大法学. 72(3-4) p.370-p.350
Issue Date 2022-11-30
https://doi.org/10.18910/89702
rights
Note
Osaka University Knowledge Archive : OUKA
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Osaka University
…今回の安倍元内閣総理大臣の国葬を閣議了解により決定するにあたっても、
この考え方が踏襲され、国の儀式を内閣が行うことについては、内閣府設置法
(平成11年法律第89号)第 4 条第33号において、内閣府の所掌事務として「国
の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌
に属するものを除く。)。」と規定されていることから、閣議決定を根拠として、行政が国を代表して行い得る行政権の作用であると政府は判断した。
…4 先にみた、国葬の法的根拠に関する政府の考え方は、栄典の授与に関する
政府の理解と同様に、侵害留保的な思考を元にして、相手方に義務を課し、権
利を制限する場合でなければ、作用法的授権を必要とせず、組織法的授権で足
りるとするものであるとみられる。
しかし、栄典の授与の場合と同様に、国葬についても、特定の者に相当額の国費を費やして栄誉を与えるものである以上、全部留保説的な考え方からは作用法的授権を要すると考えられ、
基本的人権の保障と民主的正当性の確保の観点から重要な事項については法律の制定等の議会の関与を必要とする重要事項留保説の立場からも、内閣の判断のみで国葬を行うことを決定することは違憲違法であると考えられる。