Unbroken
日本での公開[編集]
日本では2014年夏ごろからインターネット上で本作の上映中止を求める運動が始まった[11]。とりわけ問題視されたのはヒレンブランドの原作における、捕虜たちが日本軍によって「死ぬまで叩くか焼くか刺すか棍棒で殴るかされたり、撃ち殺されたり、斬首されたり、医学実験の過程で殺されたり、儀式的 (ritual) なカニバリズム行為で生きたまま食べられたりした」という、映画には登場しない部分の記述である[12][13][14]。
映画評論家の町山智浩は、この記述は九州大学生体解剖事件と小笠原事件の事実に基づいており、「生きたまま」食べられたという点は誤りだが、批判者は儀式や祭事一般を意味する "ritual" という言葉を「伝統的儀式」の意味に誤って解釈していると述べている[15]。
Change.orgでは映画の公開中止を求める要望に1万を超える署名が集まり、「史実を世界に発信する会」事務局長の茂木弘道は英『テレグラフ』紙に「完全な捏造だ」「この映画は全く根拠がなく非道徳的だ」と語った[11][12]。
これを受け、オランダ領東インド人の末裔で構成される団体「The Indo Project」は在アメリカ合衆国日本国大使館に宛てた公開中止の阻止を求める要望書をChange.orgで発表し、オランダの著名人から賛同が集まった[16]。The Indo ProjectのInez Hollanderは要望書に添えられたジョリーへの公開書簡の中で、「第二次世界大戦における被害の統計は厄介で異論も多いが、ひとつ数字を挙げるならば、茂木氏はアメリカ海軍省図書館をご自分で確かめられるとよい。ドイツの収容所における米軍捕虜の合計 (93,941人) の死亡率は1%だったのに対し、日本や東南アジアで抑留された米軍捕虜 (27,465人) の死亡率は38〜40%だった」「この映画に描かれた戦争犯罪を否定することは、インドネシア中の戦没者墓地や共同墓地に眠る、直接ないし間接的に日本軍に殺された私たちの家族に対して行われた残虐行為を否定することである」と述べた[17]。
日本でもChange.orgで公開を求める署名が始まり、1,200件以上の署名が集まった[11]。
日本でユニバーサル・ピクチャーズの作品を配給する東宝東和は公開を見送り、映画は最終的に独立系会社ビターズ・エンドの配給によって2016年2月6日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムを皮切りに順次公開された[18]。これは当初の予定よりもずっと小規模の公開である[18]。
東宝東和は2015年3月の段階で「『公開するな』との電話が数本あった」「公開を検討したが、結論は出ていない」と報じられていた[11]。ビターズ・エンドによる公開は2015年夏に決定した[19]。シアター・イメージフォーラムには公開までに抗議のメールが1、2通届いたものの、公開初日の上映は滞りなく行われた[19]。