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基礎理論から理学・工学への具体的応用まで
岩澤理論とその展望(上)
Iwasawa theory and its perspetive I
数論に少しでも関心のある方なら、「岩澤理論」がいかに重要なものであるかはご存知だと思います。最近の例としては、Wilesさんによる「Fermatの最終定理」の解決でも、その理論が使われています。とりわけそこで活躍するのが、「岩澤主予想」です。標語的に書けば、
(解析的p進ゼータ)=(代数的p進ゼータ)
という関係式に表されます。本書の「まえがき」において、著者は次のように述べています。
*
この40 年余りの間に岩澤理論の枠組みは大幅に一般化された.例えばMazur らによって楕円曲線やモジュラー形式の円分岩澤理論が提唱されたのち,Coates, Greenberg, 加藤,Perrin-Riou その他の研究者によって「p 進ガロワ表現の円分岩澤理論」がそれぞれの流儀に沿って研究された.ごく最近では,本書で論じるガロワ表現の変形空間の岩澤理論やCoates らによる非可換岩澤理論といったさらに新しい視点が導入されて岩澤理論の一般化の研究の更なる発展が期待される.(中略)この新しい岩澤理論の発展に対しても潜在的な参入者のための教科書が必要ではないだろうか.
*
このように述べた後で、新しい岩澤理論を紹介した適当な本が今のところないので、あえて自ら筆を執った経緯を述べています。そして、本書の特色は、まさに、次の著者の言葉に象徴されます。
限られた紙数の都合上,特に「岩澤主予想」という思想に的をしぼり,その中で岩澤理論の枠組みをいかに一般化していくかを示した.
上巻では、それらの準備としての「イデアル類群の円分岩澤理論」を解説します。下巻では、「p進表現の円分岩澤理論」「ガロワ変形の岩澤理論」を扱います。
著者紹介
落合 理(おちあい ただし)
Tadashi Ochiai
1972年生まれ.
2001年東京大学大学院数理科学研究科博士課程修了. 数理科学博士.
現在 大阪大学大学院理学研究科准教授.
専攻 整数論および数論幾何学.
目次
【第Ⅰ部 イデアル類群の円分岩澤理論】
1 序――岩澤理論の動機と有用性
2 Zp 拡大と岩澤代数
3 イデアル類群の円分岩澤理論
A 付録
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