米グーグルが本格導入したAI検索機能が、米国のニュースサイトを揺るがしている。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたところによると、ユーザーが検索ページ内で直接回答を得られるようになった結果、ニュースサイトへのアクセス(トラフィック)が激減。
長年、検索流入を事業の柱としてきた報道各社は、「ポスト検索時代」を見据えた事業モデルの転換を迫られている。
ことの発端は、グーグルが検索結果の最上部にAIによる要約文を表示する「AIオーバービュー(AIによる概要)」や、チャット形式で質問に答える「AIモード」を導入したことだ。これにより、ユーザーは青いリンクをクリックしてニュースサイトを訪れることなく、必要な情報を得られるようになったと指摘されている。
この変化がもたらした影響は大きいようだ。イスラエルのウェブアクセス分析企業、シミラーウェブ(Similarweb)の調査によると、米ハフポストや米紙ワシントン・ポストでは、オーガニック検索(広告ではない純粋な検索)からのトラフィックがこの3年で半減した。
米ビジネスインサイダーも55%減少し、5月には全従業員の約2割に当たる人員削減に踏み切った。同社のバーバラ・ペンCEO(最高経営責任者)は「我々のコントロールが及ばない極端なトラフィック減少に耐えるため」と説明する。
米誌アトランティックのニコラス・トンプソンCEOは社内会議で「グーグルからのトラフィックはいずれゼロに近づくという前提で事業を進化させる必要がある」と強い危機感を表明。
ワシントン・ポストのウィリアム・ルイスCEOも「クリック不要の検索が急速に発展することは、ジャーナリズムへの深刻な脅威だ」と述べ、新たな収益源の確保を急ぐ考えを示した。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c3ac742bdfa3696eb30c44556bee3c52e80fc0ec
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