投票結果で特徴的なのは、既存政党に突き付けられた有権者の「ノー」だ。NHKの出口調査分析によると、比例代表の投票先として自民党を挙げた人は、10代、20代、30代でいずれも参政、国民民主の半数程度。40代でようやく3党の割合が拮抗した。公明党も敗北を喫し、本来受け皿となるはずの野党第1党、立憲民主党も議席を増やせなかった。
「財政規律の重要性や、たとえ消費減税をするとしても国債発行に頼らない道を模索するという政党の訴えが現役世代に響かなくなっている」と、ある経済官庁の幹部は選挙結果に頭を抱える。
積極財政派の台頭に対する警戒感は、財務省にも広がっている。前出の幹部は「過度なインフレが健全な社会システムを壊し、深刻な社会不安の要因となったのは歴史が証明するところだ。その流れが始まってしまったのか、とも思える」と話す。
「そもそも日本銀行が金融と物価の『番人』であるのは、過度なインフレに陥ってしまったら国民の力ではそれを止められないからだ」と説明。参院選では与野党ともに近視眼的な主張に終始する候補者が目立ったとし、「政府としても大きな視点で国家像や財政規律の必要性を訴えなければならない」と危機感を隠さない。