英国推理作家協会は3日(日本時間4日)、優れた推理小説やミステリーに贈るダガー賞の翻訳部門に王谷晶さん(44)の「ババヤガの夜」の英訳版(サム・ベットさん訳)を選んだと発表した。ダガー賞は米国のエドガー賞と並ぶ推理小説の最高峰の賞で、日本人の受賞は初めて。
ロンドンで開かれた授賞式で王谷さんは「リアルの暴力があふれている世界ではフィクションの暴力は生きていけない。これからも首なし死体や毒殺を楽しむために、(受賞の)栄光を世界の平和に役立てたい」とスピーチした。
受賞作は、暴力が唯一の趣味という女性が暴力団会長の娘の護衛となり、娘と信頼を築いていく物語。2020年に日本で刊行後、24年に欧米などで英訳版が出た。
審査員は「マンガのように、日本のヤクザの世界を容赦ない暴力で描き、登場人物の深い人間性を浮き彫りにした。無駄をそぎ落とし、独創性にあふれ、奇妙でありながらも素晴らしいラブストーリーを伝えている」と評価。王谷さんは授賞式後の取材に「すごく混乱している。現実感がない」と述べ、「こんな栄誉は一生に1度だと思うが、もう1度この舞台に来られるようになれたらうれしい」と話した。
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