財務省は復興増税として所得税に上乗せして徴収している税金の一部を、防衛財源に回す方針を決めている。福島の地元自治体に復興費用を負担させ、国の持ち出しを減らしたいから森氏に地元負担について質問されたくなかったようなのだ。
野党には下手に出る“ご説明”
政府に厳しい質問をしない与党議員にまで、財務省が「質問するな」と圧力をかけていたわけである。これでは与党議員の国会質疑が“八百長”だと思われても仕方ない。
元民主党事務局長で国会の舞台裏に詳しい政治アナリストの伊藤惇夫氏が指摘する。
「財務省は野党議員にも与党議員にも質問取りをするが、野党議員に『質問は勘弁してくれ』などと頭ごなしの言い方をすれば、すぐに“言論弾圧だ”と問題にされかねない。だから議員への“ご説明”の際に財務官僚は直接的な表現は避け、あくまで下手に出ながら財務省の思う方向に誘導するアプローチを取る。そうした財務省の国会工作は与野党はじめ永田町の人間ならみんな知っています。ただ、それを国会で与党議員が言及したのは初めてではないか」