投資のゴールを明確にする
投資の世界では、大きなリターンを得るためには積極的にリスクをとる必要がある一方で、そこまで利益を求めないのであれば、リスクの低い運用で事足ります。
「なんのために運用するのか?」「資金をどれだけ増やす必要があるのか?」を把握することは、不要なリスクを避けるために重要になります。
自分にとって必要なリターンとリスクを見極めるためには、Excelなどを使用して将来の試算推移をシミュレーションすることが有効な手段となります。
こうしたシミュレーションを行うためにはある程度のパソコンスキルが必要となりますが、現在では面談を行いながら試算を行うサービスも提供されています。こうしたサービスのなかには、投資についてアドバイスを受けることができるところもあるので、利用を検討することも選択肢となるでしょう。
運用リスクを下げる決断
カネダさんは、次のようなアドバイスを受けました。
・積立で1,800万円を投資していて、500万円もの損失が生じるのは歴史的な暴落局面なため、いま持っているアクティブ投資信託を持ち続けて、価格の回復を待つことが賢明
・夫婦の公的年金を考慮すると、積極的な運用を行わなくても95歳まで資金寿命を延ばすことができる
・保有しているアクティブ投資信託は株式のみを投資対象としていて、資産が目減りするリスクを余計にとっている
「子どもには資産を残さないほうが、結果的に子どものためになる」という考えを持っていたカネダさんは、助言をうけてアクティブ投資信託の価格が回復することを待ちつつ、運用のリスクを下げる決断をしました。
幸いにも、ほどなくしてアクティブ投資信託の価格は回復し、損失は100万円にまで減少しました。このタイミングでカネダさんは、運用していたアクティブ投資信託をすべて売却、万が一のために500万円を現金として保有しつつ、残りの1,200万円を外国債券の購入に充てることにしました。
購入した債券は、債券を発行した企業が破綻しない限り毎年約40万円弱の利金を受け取ることができるものです。カネダさんは3年程度で当初の損失を取り戻すことができる計算になります。
また債券から得られる利金で、株式を中心としており過去の運用実績が良好なアクティブファンドを成長投資枠を利用して購入し、運用効率を高めることにしました。元手が利金なため、無理のない範囲での投資となります。
結果として、株式と比較して債券を多く保有することになり、相談前と比較してリスクの小さいポートフォリオが出来上がりました。これにより、カネダさんは日々の値動きに一喜一憂することも減って、趣味の釣りも楽しめるようになりました。
資産運用をはじめて、みるみるうちに資産が減ってしまっていた当時を振り返り、カネダさんは次のように語ります。
「思ったよりも子どもの学費がかさみ老後の資金に不安を感じていたところに、メディア等で資産運用の必要性が声高に叫ばれていたことで、焦って投資を始めてしまった。はじめて購入したアクティブ投資信託は、インターネットで見かけて“よい”とおすすめされていたので買ってみたが、自分の状況に合致しているか吟味することはしなかった。投資対象についてよく理解していなかったがために、日々の値動きが気になってしまい落ち着いて生活することもままならなかった」
一方で、ポートフォリオ見直し後の生活については次のようにいっていました。
「専門家に相談してみて、自分が必要以上のリスクをとって運用し