3.積立投資:ドルコスト平均法の実践
最適なタイミングで投資を開始することは、投資のプロであっても困難です。投資の開始時期を分散できる積立投資は、投資対象を高値掴みして安値で手放す事態を回避するために有効な手法です。
積立投資のなかで、毎月一定金額を積み立てる「ドルコスト平均法」を実践することは特に効果的でしょう。相場の下落局面では購入できる投資信託の数量が増加するため、安値で多くの投資信託を購入することにつながり、より大きな収益が期待できます。
多くの証券会社が一定の頻度・金額での投資設定に対応しており、投資初心者の全でも容易に実践することができます。「長期・分散・積立」の3原則のほかにも、資産運用を行ううえで重要な考え方があります。
リスク許容度に合った運用を行う
資産運用では、投資家自身のリスク許容度を把握することが重要になります。リスクとは、運用している資産が増えたり減ったりする金額の振れ幅のことを指します。自分のリスク許容度を知るためには、どれだけ資産が減少しても許容できるかを基準に考えるのがよいでしょう。
一般的に退職金の運用では、リスクを抑えた運用をお勧めします。というのも、リタイア後は現役時代と比べて、手取り額が減少するからです。現役時代は安定した収入があるため、運用資産が下落しても、その価値が回復するまでゆっくりと待つことができます。
しかし、リタイア後は運用している資金を切り崩して生活するため、大きな下落相場が到来した場合、取り崩す金額が一定だったとしてもより多くの割合で資産を切り崩すことになってしまいます。
新NISAの枠内でリスクを抑えるためには、数種類の金融商品に投資できる「バランス型」の投資信託も選択肢の1つとなります。また、債券や不動産など比較的安定した資産を投資対象とする投資信託を選ぶことも有効な戦略となるでしょう。
「アクティブ投信=悪」ではない
新NISAの投資先として、手数料が高いアクティブ投信を選択する必要はない、という意見をしばしば見かけます。
確かに「インデックス型」の投資信託のなかでも、S&P500;や全世界株式指数に連動した商品は、安価な手数料でありながら良好なパフォーマンスを記録しています。多くの投資家にとって十分な成績を収めてきたことは疑いようがありません。
しかし、本来「アクティブ型」の投資信託は「インデックス型」の投資信託のパフォーマンスを上回ることを目指して運用されています。多くの「アクティブ型」の投資信託の運用成績が、「インデックス型」に対して劣後しているものの、なかには「インデックス型」を上回るリターンを記録し続けている「アクティブ型」の投資信託も存在しています。こうした「アクティブ型」の投資信託は、優れた運用体制などによって、再現性の高い好成績を記録しています。
「インデックス型」よりも高い手数料を支払うとしても、それ以上に良好なリターンが期待できる「アクティブ型」投資信託であれば保有を検討してもよいでしょう。