専門家「不公正な方法で値上げ実現は不当」
独占禁止法に詳しい同志社大学大学院司法研究科の小林渉特別客員教授は「最近の値上げラッシュの背景にはコストの上昇があり、企業としても価格を上げざるをえないという側面があると思うが、消費者サイドの視点も含めて考えれば、こうした不公正な方法で値上げを実現するのは不当だと考えられる。人気商品の価格が上がれば競合する商品も価格を上げやすくなり、その分野の商品全体の価格帯や相場が上昇する可能性がある。メーカーは取り引き上の力関係だけにものを言わせるのではなく、条件についてよく協議して対等な当事者として取り引きを行うことが求められる」と指摘しています。
また、公正取引委員会が最も重い行政処分の「排除措置命令」などではなく行政指導の「警告」とすることについては「『再販売価格の拘束』は違法性の高い行為で、本来ならば排除措置命令が出されてもおかしくないと思う。個別の事情は承知していないが、さまざまな商品の値上げが行われている中で、命令を出すための厳格な調査に時間をかけるよりも、世の中に周知・啓発するために迅速に処理することを優先したという背景が考えられる」と話しています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240808/k10014541361000.html
2024年8月8日 5時02分 NHK