「一つの型にはめこむ教育」しかしていない
日本の教育現場はアナログまみれ
私が学校に赴任してまず感じたのは、「日本の教育現場はITシステムの導入があまりにも遅れている」ということです。日本の学校は、すべてが紙の記録で管理されており、これまでに蓄積された生徒の情報の分析や整理・共有が全くできていません。
現状では、生徒に関するデータをすぐに閲覧、利用できる仕組みが整備されておらず、校長であってもデータを見るには、別の先生に頼む必要があります。さらに、データそのものも十分にはそろっておらず、データ分析機能もありません。これでは個々の生徒に必要なきめ細かい対応はとてもできません。
生徒一人ひとりにタブレット端末を持たせるという施策も、持たせるだけで終わっており、それで何かをしようという具体的で有効な活用法がありません。ほとんどの学校で共通して2~3個のアプリを使用しています。形式だけ整えても中身がないと意味がないのです。
私の学校では、これまでは紙ベースで存在したさまざまなデータを、エクセルベースで電子化して、自分のPCで見られるようにしました。将来的にはITシステムを導入して、生徒に目標設定をしてもらい、各生徒の性格や適性、置かれた状況に合わせて、目標に向かって具体的な計画を策定させて、実行してもらいたいです。そして、その進捗をきめ細かく管理やフォローできるシステムを構築したいと考えています。ITシステム導入後は、その分析も瞬時にできるようにしたいです。
学校の変革には大きな抵抗がありますが、ITシステムを導入することで、さまざまな変革をもたらすことが可能になると考えています。
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西川 裕治 科学技術国際交流センター(JISTEC)上席調査研究員