SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジストは「投機筋に対して160円を超えて円安が進むのは難しいという印象を植え付けるには効果的なタイミングだった」と指摘する。
政府は為替介入の実施について認めていない。神田財務官は30日午前、「過度な変動が投機によって発生すると国民生活に悪影響を与える」と強調したものの、介入の有無については「私から申し上げることはない」と語り、言及を避けた。
神田真人財務官は介入の有無について明言を避けた
市場参加者は介入の証拠を探し回っている。米ゴールドマン・サックスによると、電子ブローキングシステム(EBS)における29日の円の取引量は約700億ドルと、2022年10月21日に政府・日銀が為替介入に動いた際の規模に匹敵するという。通常ではみられない円取引量の膨張が介入実施を示唆する。
市場で介入観測が浮上したタイミングは3回あった。日本時間29日の午後1時ごろと午後4時ごろ、30日午前1時台だ。介入規模は3回合計で数兆円規模との見方が浮上している。その「答えあわせ」として市場が注目するのは、日銀が30日夕に公表する5月1日の当座預金残高の見通しだ。