犯行直前まで同じ職場で働いていた玉城勇人さん(31)は、
職場を案内したことを覚えている。食堂に案内した際、
立て続けに加藤被告から質問を受けた。
「社員にはなれますか?」
「どのくらいで仕事は覚えられますか?」
強い意欲を感じた。
ドライブにも誘われ、一緒に遊びにいくなど、
私生活も楽しんでいるように見えた。そこへ、突然の「クビ通告」──。
「使い回しのコマなのか?」
そう加藤被告が待機所で愚痴っていたのを覚えている。
事件後、メディアが殺到した。派遣会社のフルキャストや
派遣先の関東自動車工業から、取材に応じないよう言われたが、
むしろ積極的に応じた。
「僕自身、8年間働いたのに期間社員にすらなれず、最後は封書1枚で
契約解除を伝えられた。残業は派遣社員に回されるなど、派
遣の待遇を知ってもらういい機会だと思っていた」
玉城さんは今、実家に帰り、介護ヘルパーの仕事に就いている。
給料は手取り12万円。一人暮らしさえ、できない。
だからこそ、改めて加藤被告が若者の置かれた雇用環境などを
話すことに期待した。