財務省が衝撃の回答。“本名バレ”不可避でもインボイス制度を導入する「本当の理由」
財務省・国税庁の「衝撃的回答」
実態をよりリアルに知って頂くため、6点目の質問(今回の本題である個人情報流出の問題)の質疑要旨を抜粋して紹介しながら、財務省及び国税庁の衝撃的な認識を解説していく。
*質疑は質問書の順番に沿って進行。最後に行われた6点目の質疑は筆者も現地で同席
*6点目の主な質問者は小泉なつみ氏(インボイス制度を考えるフリーランスの会)
*6点目の主な回答者は国税庁 課税部 軽減税率・インボイス制度対応室の西公(にし ただし)課長補佐。財務省 主税局 税制第2課 佐々木辰実 課長補佐も同席したが、主に1〜4点目の質問の回答を担当。
【小泉なつみ氏】適格請求書発行事業者公表サイトで個人事業者の本名が公開される問題について、プライバシー侵害の危険性をどのように考えているのか。
【国税庁 西公 課長補佐】登録番号が書かれたインボイスを受け取った側が有効性を確認する際、名前などの付加情報が必要。例えば、佐々木さんから受け取ったインボイスに書かれた登録番号で調べると、その登録番号が有効であることは確認できるが、本当に佐々木さんの登録番号かは判断できない。この際、あわせて氏名も公開されていれば、間違いなく佐々木さんの登録番号であると速やかに確認できる。このような点から本名公開は実務上の必要性があると考えている。住所、電話番号のような危険性が高い個人情報ではなく、かつ絞り込みに有効という点で氏名を選んだ。
まず、インボイスに書かれた情報だけでは本人確認が困難であることは国税庁も認めていることがハッキリと分かる。さらに、あたかも「氏名」さえ分かれば本人確認できるように説明しているが、芸名・ペンネームの場合は経理担当者が氏名(本名)を知らなければ本人であると特定できないことは、これまで筆者が述べてきたとおり。
全文はソースで
https://shueisha.online/culture/52936
もし経理担当者が本名を知っていたとしても、よほど珍しい名字・名前でない限りは同姓同名の登録者が確実にいるため、任意項目である「屋号」(芸名・ペンネームと同一であることが多い)や「事務所所在地」(個人事業主は自宅住所を兼ねる場合が多い)も登録せざるを得ないため、本名バレ・住所バレに繋がる。
にも関わらず「住所、電話番号のような危険性が高い個人情報ではなく、氏名を必須項目とした」という趣旨の説明を平然としていること自体、実態とあまりにもかけ離れている。このやり取りを聞きただけでも、抑えることが困難なほどの憤りを筆者は感じていたが、これ以降もさらに耳を疑うやり取りが続いた。
【小泉なつみ氏】適格請求書発行事業者公表サイトで公開する情報を商用利用可にしたのはなぜか。
【国税庁 西公 課長補佐】取引先が多い場合、会計ソフトのベンダーが自らデータベースをつくって参照させる運用を想定している。ベンダーがダウンロードした情報を会計ソフトの利用者が参照する形になる。これが、我々が商用利用として想定していた運用。
【小泉なつみ氏】納税のために登録した個人情報が商用利用されることに違和感がある。なぜ納税者本人とは無関係の企業の利益のために利用されなければならないのか。
【国税庁 西公 課長補佐】公開するのは氏名など最低限の情報に絞っている。
【小泉なつみ氏】そもそも、全世界から全件一括ダウンロードできる形で公開していること事態が杜撰ではないか。登録番号ごとに検索して