経済指標GDPに見直しの動き 動画や家事の価値も反映?
「GDPを追求することが真に人々にとって幸せなことなのか。大変目新しい議論に接することができた」。鈴木俊一財務相は5月、新潟市であった主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でそう述べた。
鈴木氏が「目新しい議論」としたのは、会議に招待したノーベル経済学賞受賞者、ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授の講演だ。スティグリッツ氏は、経済指標としてのGDPの限界を指摘していることで知られ、講演では補完する指標の必要性などを訴えた。
GDPは各国の経済規模を測る共通の尺度として使われており、その増減は経済が成長したかどうかの目安となっている。G7をはじめとする各国はGDPを中心に据えて経済政策を運営しており、会議に居並んだ財務相らはその責任者でもある。
そんな各国の財務相らが、スティグリッツ氏の講演に耳を傾けたのはなぜか。
それは、GDPに反映されない経済活動が大きくなっており、「GDPが時代の変化に対応できなくなっている」との危機感があるためだ。
GDPは、一つの国(地域)で一定の期間内に生み出された製品・サービスの付加価値(もうけ)の総額だ。具体的には、企業がモノを作って販売、輸出して得た利益や、政府が発注した公共事業などを足し合わせるなどして算出。国連が中心になってまとめた「国民経済計算(SNA)」と呼ばれる国際基準に沿って算出される。
https://mainichi.jp/articles/20230821/k00/00m/020/160000c
毎日新聞 2023/8/22 07:00(最終更新 8/22 07:00) | 有料記事