袴田巌さん再審 検察は有罪求める立証を行う方針 審理長期化へ
57年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審＝やり直しの裁判で、検察が有罪を求める立証を行う方針を裁判所に示しました。弁護団は早期の無罪判決を求めていますが、審理は長期化する見通しになりました。
57年前の1966年に今の静岡市清水区で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん（87）について、東京高等裁判所はことし3月、捜査機関による証拠のねつ造の疑いに言及した上で再審を認める決定を出し、静岡地方裁判所でやり直しの裁判が開かれることになりました。
この裁判に向けて、ことし4月以降、裁判所と弁護団、検察による3者協議が進められ、検察が有罪を求める立証を行うかどうかが焦点になっていましたが、検察は、10日、裁判所に対して有罪を求める立証を行う方針を示しました。
検察はこれまでに証拠を検討し直したほか、有罪の決め手となった衣類に残った血痕の色がどのように変化するか改めて専門家に見解を求めるなどの補充捜査をした結果、有罪を求める立証を行う方針に至ったとみられます。
これに対し弁護団は、この衣類は「ねつ造であり、証拠から排除しなければならない」として早期に無罪判決を出すよう求めています。
今後、静岡地方裁判所で開かれるやり直しの裁判では改めて有罪か無罪か争われることになり、審理は長期化する見通しになりました。
姉 ひで子さん「57年間闘っているので どうってことありません」
検察が有罪を求める立証を行う方針を裁判所に示したことについて、袴田巌さん（87）の姉のひで子さん（90）は、自宅の前で報道陣の取材に応じ、「検察庁の都合なのでしょうがないと思う。これから裁判ですから、ともかく頑張っていきます」と述べました。
そのうえで、審理が長期化する見通しになったことについては「57年間闘っているので、1年や2年はどうってことありません」と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230710/k10014124111000.html
2023年7月10日 14時08分 NHK