[覚鑁の事績②]覚鑁は、弘法大師由来の修法として、阿字観(禅)を導入した。現在、古義・新義を問わず、「阿字観という名の座禅を民間の信者に修めさせる」真言宗の寺院が少なくない。宗派のすそ野を広げている。
一方で、特に阿字観である必要はなく、ヨガなどでもいいはずである。実際に、寺ヨガを行なっている真言宗の寺院も存在する。覚鑁の墓がある、根来寺とのお付き合いで、真言宗各派の寺院が阿字観を用いている面もあるのかもしれない。とはいえ、「座禅のような瞑想行には需要があるので、一定の方式を定める」という覚鑁の着眼は、評価されるべきものではないか。