――人間関係を深めなければできないものなのですか。
「そうです。『政治家は政策を競い合え』『政治家は政策ベースで動け』と説く人が多いですが、現実の政治家は政策では動いていません」
「政治は人間が動かしています。そして人間を動かすのは感情です。他人の感情を、自分にプラスになるように育む。それが政治家にとっては大事な仕事になるのです」
「食事を重ねることで人間関係を築いていく。今の政治家で言えば自民党幹事長の二階俊博さんや総理の菅義偉さんが、そういう努力をひたすらやってきた人たちです」
――なぜ会食という行為がカギになるのでしょう。
「長い時間を一緒に過ごせることが大きいと思います。夕食なら2時間、朝食や昼食でも1時間は話せますから」
「日中に仕事場でサシで話せるのは、せいぜい30分です。でも食事をしながら2時間サシで話をすると、相手の生まれ育ちやご家族のこと、交友関係など、いろいろな方面に話が広がっていく。相手の人間性が分かるのです」
「外国の首脳が来日したとき、必ず晩餐(ばんさん)会とか午餐(ごさん)会とかを開いて会食しますよね。食事には人と人のつながりを深める効果がある。それは、人間が歴史的に積み重ねてきた知恵だと思うんです」