本田クラス基礎マ刑法60回(テキスト第2分冊)
P243 問12
身分者が156条の間接正犯の主体たり得るか、って問題です。パワポ265。身分者が身分者を道具として、156条の間接正犯できますかっていうことで、身分者ようは補佐的公務員とか、権限ある公務員ね。これが主体の場合です。このように、とりあえず判例に近い立場で考えていくんであれば、議論は、この利用者に当たる人が、身分者なのか非身分者なのかって形で、区別されて判断されてきます。身分者が身分者を使って156の間接正犯できるかです。この点ね。我々B説です。ただ、ちょっと理由付けが我々とちょっと違う立場でテキスト書かれています。
A説
身分者の場合であっても否定する。前田先生は問11と問12を区別しない見解です。要は157がある以上は、156の間接正犯的形態は、利用者が、非身分者であれ身分者であれ、一律否定させる、という風に考える見解です。これはこれですっきりしてるよね。
B説
身分者が利用者になる場合には、156の間接正犯はなお肯定してくと。問11と区別して考えるってことです。テキストの理由付けは西田先生の理由付け。判例と西田節は違いますから、本当はこの理由付けは自説とは言えません。だからこれ自説と思わないほうがいいです。私も受験生の時に、この記述を見て問11との整合性が全く持ってわけわかんないって混乱してたところなんだけど、合格後に気づいたこととしては、問11と整合しない理由なので、これは基本的に自説と考えないほうがいいです。これが問11のA①説と整合すんのかってのが疑問なわけです。問11のA①説は157条が間接正犯的な形態をとても軽く処罰してるから、156の間接正犯的形態は、処罰しない趣旨である、といってるわけですよ。にもかかわらず問12のB説は、157は、窓口という形態での私人の申告という形態をとるときのみ軽く処罰する趣旨だから、それ以外はなお可罰なんだっていうんだけれども、なんかこの整合性がないな、と思ってたところなんですけど。整合しなくて当然で、説が違うからですね。問11のA①とね。