「空飛ぶクルマ」乗り心地は上々 2人乗り、1キロを4分半で飛行
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【岡山】「空飛ぶクルマ」の実用化を目指し、有人による試験飛行が22、23日、笠岡市の笠岡ふれあい空港であった。2人を乗せた機体は干拓地の上空約30メートルを4分半、約1キロをトラブルなく飛行した。瀬戸内海に浮かぶ島々の間の往来や物資輸送の手段として期待され、実用化に向けて一歩前進した。
倉敷市の経営者らでつくる一般社団法人「MASC」が2021年から試験を続けてきた。笠岡市や香川県坂出市、広島県福山市などで計7回、米袋などを載せて屋外での無人飛行を実施。今月17日には大分市で、国土交通相の許可を受けた国内初の有人飛行を成功させている。
機体は中国製の2人乗りで、全長約5・6メートル、重さ約430キロ。25分のフル充電で30キロの飛行が可能で、最高時速は130キロだ。
22日のコースは事前にプログラムを入力して設定した約1キロ。雲一つない快晴の下、MASCの桐野宏司理事長(73)らを乗せて垂直に高度30メートルまで浮上。振動や気圧の変化、乗り心地を確認するため、まず300メートル進み、転回して続けて500メートル、さらに転回して200メートル進んで戻ってきた。
試験飛行を終えた桐野理事長は「機体が上がるときに少しお尻に振動があったが、上空では快適そのもの。音もヘリコプターよりも静かで気にならなかった」と乗り心地は上々だったという。
倉敷市は三菱重工業水島航空機製作所があった歴史を持ち、さらには高度経済成長を支えた水島コンビナートを有する。MASCは技術者のDNAを引き継いで新しい産業にいかそうと2017年に発足した。
空飛ぶクルマは2025年の大阪・関西万博での活用を目指して開発が進められてきた。一方、万博を運営する日本国際博覧会協会は、日本航空など4グループを運航事業者として選んだと発表している。
桐野理事長は「瀬戸内海の多くの有人島の人たちの利便性向上や観光への活用といった目標は変わらない。瀬戸内海での新たなビジネス展開に向け、引き続き開発を進める」と話した。(小沢邦男)