後輪がなぜ浮いている? 大型トレーラーで見かける「リフトアクスル」が普及した理由とは
2021.03.22 Peacock Blue K.K.
https://kuruma-news.jp/post/358185
なぜ大型トレーラーは後輪が上がっている?
街を走行する大型トレーラーのなかで、たまに後輪が浮いている車両を見かけます。
初めて見ると驚く光景ともいえますが、なぜ大型トレーラーの後輪が上がっているのでしょうか。
大型トレーラーは、通常の荷物を運ぶトラックに比べて積載される量が多く、トラクターと呼ばれるけん引車で引っ張って荷物を運びます。
そのため、行きは重量のある荷物を多く積載しますが、荷物を下ろした帰りとの重量には大きな差があります。
そこで積載している荷物の量で車軸を上げ下げさせる「リフトアクスル」という機能が用いられます。
この機能は、一定の荷重センサーが感知することで、自動的に車軸が下りてくる仕様となっており、実際に荷物の重量が多い場合は装着されているタイヤがフルで使用され、荷物が少ない場合は使う必要のないタイヤが浮くことで、運行の効率化を図っています。
また、このリフトアクスル機能を利用することで、高速道路の料金を削減に繋がるといったメリットが挙げられます。
東日本高速道路株式会社が定めている高速道路の車種区分を見ると、トラクターを除いたトレーラー単体で車軸を2本以上備えると特大車料金となり、車輪を浮かせて車軸を1本の状態にすると大型車料金で済むことになります。
そのため、例えば東北自動車道を浦和ICから青森ICまで平日昼間に走行した場合、リフトアクスルなしの状態で特大車として走行すると料金は3万8200円。
一方で、車輪を浮かせて大型車として通行した場合は2万3000円となり、その差は1万5200円と、およそ40%安くなります。
荷物を搬送することで高速道路は避けては通れないため、この料金の差は非常に大きいといえるでしょう。
加えて、路面と接するタイヤが減ることで転がり抵抗の減少による燃費の低減や、タイヤやブレーキまわりの摩耗の減少によるコストダウンも見込めるといったさまざまなメリットがあります。
リフトアクスル機能について、トレーラーやトラックのボディー、コンテナなどの輸送用機器を製造・販売する日本フルハーフ株式会社の担当者は以下のように話します。
「リフトアクスル機能は需要が拡大し、一般的なトレーラーに当たる『バン型セミトレーラー』では、弊社で販売しているトレーラーの6割から7割がエアサスペンション車で、そのうちの8割以上がリフトアクスルを装着しています。
価格でいうと、弊社で販売しているバン型セミトレーラーは新車価格がおおむね1000万円で、これにリフトアクスルを装備すると200万円ほど上乗せされます。
一見高いように見えますが、リフトアクスル機能を利用することで、高速道路の料金を削減することができ、エンジンを持たない分耐用年数の長いトレーラーは、元を取って十分にお釣りがくるほどです」