元首相のような要人は、理由はどうあれ命を狙われる存在であり、公衆の面前に立つ演説の時はなおさらリスクが高まる。
徹底的な警備・警護が必要なのに、我が国にはそうした認識、緊張感が警察においてすら十分ではなかった。
日本以外の国では、あのような警察の失態は絶対にあり得ない。
今回守りきれなかったのは、日本の警察の恥であると同時に、日本国家の恥でもある。
日本国民として誠に申し訳なく感ずると同時に、世界に対して恥ずかしいと言わざるを得ない。
安倍氏は「戦後レジーム/デフレからの脱却」という政治的信念を持ち、一貫して主張し、具体的に取り組み、実現させ得る力を持った唯一の政治家だった。
代わりのきかない政治家が失われたことで今後、日本国家の取り組みが停滞し、大きく後退することになったと感じている。
安倍氏以外にそうした政治家は現状、見出し得ない。この損失をどう埋めるのか。残された我々は全力で考えなければならない。
※週刊ポスト2022年7月29日号
(おわり)