https://bunshun.jp/denshiban/articles/b390
(一部抜粋)
高市氏が同店で高級食材を頬張ったのは、この日だけではない。19年12月20日、彼女は澤田氏らと4人で会食。内部資料には「@5万(込・弁当込・土産込)」と澤田氏が設定した上限額が記されている他、「メロン、納豆、辛すぎるものNG(山葵辛子OK)」の文字がある。事前にゲストの苦手な食材を細かく把握するなど、痒いところに手が届く、お手本のような接待である。
内部資料を紐解くと、澤田氏がホストの会食は、社長に就任した18年6月以降、KNOXのみで60回超。そのうち26回は、高市氏など総務省政務三役を含む国会議員や総務官僚がゲストだった。その回数は歴代社長の中でも群を抜く。経営においては「スピード重視」を公言し、高額接待に勤しむ澤田氏とは、どのような人物なのか。
「趣味はラグビー観戦、座右の書はイギリス人作家サミュエル・スマイルズ著の『自助論』という澤田氏ですが、保守思想の持ち主で、普段着は迷彩服。社長室の机には、零戦の模型を置いています。実は、防衛省のIT関係はNTTがメインなのですが、澤田氏に防衛省関連の日程が入ると、それが最優先になる。そういう保守思想が一部の自民党議員からシンパシーを持たれています」(知人)
別のNTT関係者は、澤田氏の接待にまつわる“厳格”な一面を語る。
「あるとき、澤田氏は経済部記者をもてなすと言い、広報担当者を通じて記者に連絡を取ったそうです。ところが、その記者が『割り勘なら』と応じたところ、『それならば……』と会食はなくなったのです」
東京・大手町。皇居外苑を見下ろす大手町ファーストスクエアには、殺伐とした雰囲気が漂っている。冷たい雨が降りしきる3月8日夜7時前、22階にある社長室の椅子に腰かけた澤田氏は、「NTTグループの皆様へ」と題したメールを社員向けに送信した。
〈私をはじめ諸幹部は、省庁幹部との会食において、当社グループの事業に関して何らかの要請を行った事実はありません〉
そのメールを受け取った同社幹部の一人が嘆く。
「1本13万円以上のワインをポンポン空け、1回何十万円という接待を繰り返していたにもかかわらず『会食はしたが、不正はしていない』と開き直るような内容のメールでした。社内には澤田社長に対する不満が充満し、これを機に退社を考えている社員も少なくありません」