沖縄県東村高江で2017年に不時着炎上した米軍ヘリの部品から、自然環境の5千倍となる強い放射線が検出されていたことが2日までに分かった。日本政府が使用を否定した泡消火剤由来とみられる有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)も土壌中で確認された。本紙が米情報公開法で海兵隊の報告書を入手した。
汚染の具体的な数値が判明したのは初めて。米軍は事故機が放射性物質を積んでいたことは認めつつ、「健康被害を引き起こす量ではない」とだけ説明していた。専門家は判明した数値を「非常に高い値で、健康被害がないとは言い切れない」と指摘した。
事故を起こしたCH53E大型輸送ヘリは、ローターのひび割れを検知する装置「IBIS」に放射性物質ストロンチウム90を使っている。米軍がIBISを検査すると、自然環境(28cpm=cpmは1分当たりの放射線測定値)の5143倍に当たる14万4千cpmが確認された。凍結防止装置は121倍の3400cpmだった。
米軍が持ち去った土壌の二つのサンプルは1キロ当たり195ベクレル、40ベクレルだった。報告書によると、米軍の基準を上回っていたため、低レベル放射性廃棄物として処理された。
また、土壌サンプルの一つはPFOS(ピーホス)の濃度が1キロ当たり700ナノグラム(ナノは10億分の1)だった。これは米環境保護局が定めた基準378ナノグラムを上回る。検出を受け、米軍は土壌を有害廃棄物として処分した。
本紙は18年、米軍が現場で泡消火剤を使ったことを示す別の報告書を入手し、報道した。沖縄防衛局は当時、「米軍は消火剤を使用していないと承知している」と回答していたが、今回PFOSが検出されていたことも分かり、泡消火剤の使用がほぼ裏付けられた。
事故後、米軍が土壌を持ち去ってから沖縄防衛局や県が実施した空間や土壌の調査では、放射線量や有害物質の値に異常はないとされていた。
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