◆専守防衛を逸脱 軍事大国化の懸念
政府は、武力行使を伴う自衛隊の海外活動に関して、これまでも例外的に認められる場合があると説明。しかし、イランとオマーンに挟まれて公海がわずかな「ホルムズ海峡での機雷掃海」以外は念頭にないなどと、極めて限定的に解釈してきた。
敵基地攻撃能力の保有に伴い、海外への派遣を前提とした防衛戦略が策定されれば、「他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」という防衛政策の基本理念の根幹にかかわる。
元内閣法制局長官の阪田雅裕氏は本紙の取材に、2015年の安全保障関連法の成立で集団的自衛権の行使が可能となり、自衛隊が海外で活動する制約がなくなったと指摘。「敵基地攻撃能力を持ち、打撃力の一部を担う以上、日米の役割分担が変わらないことはあり得ない。非常になし崩し的で、政府は専守防衛と言い続けているが、論理的に持たなくなっている」と話した。
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