防火対策のもろさ露呈
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/26938
（途中から）
こうした取り組みの一方、今回の火災で防火対策の甘さが明るみに出た。出火当時、荒川工場に出勤していた男性従業員によると、日常的に複数の棟の通路に機材や台車などが散乱していたという。今回も「逃げる最中に物につまずいた」と話し、十分な避難経路が確保されていなかった。
別の従業員は「整理整頓が徹底されていなかった。本社の視察の時だけ取り繕うような風潮があり、安全対策を軽視していた面がある」と漏らす。
また、複数の従業員は、避難灯の追加設置や古くなった機材の新調など、安全対策や労働環境改善を求める現場の声が反映されにくい「風通しの悪さ」があると打ち明けた。
元従業員の男性は「生産を優先するため、トラブルや機械の修理でラインを止めづらい雰囲気があった。安全第一ではなく、対応が後手に回っていた」と語った。
同社工場では「火災報知器の音に慣れきっていた」とする従業員の証言もあるが、こうした危機管理には同業他社も疑問符を示す。県内のある製菓メーカーは「火災報知器が鳴っても作業を続けていたというのは首をかしげざるを得ない。リスクマネジメントが徹底されていたのか疑問だ」と述べた。
三幸製菓によると、避難経路を工場内に掲示し、訓練などで従業員に指導をしていたという。一方、危機管理マニュアルを従業員に配布するなどの安全対策は講じていなかった。同社は１４日にホームページで「原因究明次第、適切な再発防止対策を講じる」などとおわびを掲載した。
男性従業員は「危機管理マニュアルを策定するなど社員を守る体制を確立してほしい」と訴えている。