◆「行く可能性がある」だけで「五輪反対デモに参加」に
報告書によると、最初の番組試写段階での字幕は「かつてホームレスだった男性」「デモにアルバイトで参加していると打ち明けた」だった。チーフプロデューサーはディレクターに対し、字幕が五輪デモを指しているのか確認を求めたというが、ディレクターは男性が五輪反対デモに「行く可能性がある」と思い込んでおり、デモに「参加した」と断定した字幕でなければ問題ないと考えていた。チーフプロデューサーも、どのように確認するか具体的な指示をしなかった。
ディレクターは問題が発覚するまで男性の連絡先を把握しておらず、男性がどのようなデモに参加する予定かなど、判断材料になる事実関係を詳しく取材していなかった。報告書では「最大の問題は、当該シーンが8月7日に取材したあいまいな情報をもとにしていたにもかかわらず、取材後、放送までの間に、男性に一度も、実際に参加したかどうかを確かめることもなく、誤った字幕を出してしまったこと」と指摘した。
(おわり)