少女力士の梶原千愛(せな)さんは、冷静な表情で、相手に頭からぶつかる。10歳前後の2人の少女は、十数秒間組み合った後、梶原さんが相手を土俵の外に押し出した。
この相撲大会で「横綱」の座をかけて争っているのはまわしを締めた男性力士たちではなく、8歳から12歳までの少女たちだ。土俵上でしのぎを削る少女力士たちは、男性優位の日本の国技、相撲の未来を着実に変えつつある。
しかし、日本では相撲は少年や男性の競技と考えている人が多いため、中には梶原さんが相撲を取っていると知って驚いたり、ショックを受ける人もいるという。
梶原さんは、少女力士や女性力士が増えれば、女性も男性と同じように相撲で生計を立てられるようになるとし、そうなることを願っていると付け加えた。
梶原さんは、穏やかな話し方をする眼鏡を掛けた12歳の少女だ。4年前、柔道と並行して相撲の稽古を開始した。2019年に開催された「第1回わんぱく相撲女子全国大会」の優勝者として、梶原さんは「横綱」の地位を維持するとともに、相撲でやれるところまでやる覚悟だ。
梶原さんは、自分のような少女がなぜ相撲を取るのか理解できない人もいるが、人からどう思われようが気にしないと述べ、自分が相撲をやりたければやるべき、と語る。
しかし、女性にとってそれは口で言うほど簡単なことではない。
大相撲では、取組や儀式への女性の参加は認めていない。また最近、角界でスキャンダルが相次ぎ、相撲の評判に傷がついた。
18年には、京都府で、土俵上で倒れた市長に救命処置をしていた女性たちが土俵から下りるよう指示され騒動になった。この事件は、日本の家父長制社会における女性の扱われ方を反映しているとの見方が多い。日本は、世界経済フォーラムの最新の「ジェンダーギャップ指数」でも156カ国中120位となっている。
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