新型コロナウイルスの感染経路に関する国立感染症研究所の文書が世界保健機関(WHO)など世界の知見とは異なるとして、感染症や物理学などの専門家8人が1日、感染研に対して公開質問状を提出した。感染研は「感染経路は主に飛沫(ひまつ)感染と接触感染」としているのに対し、専門家はエアロゾル感染(空気感染)が主な感染経路と主張しており、感染研に説明を求めている。
専門家が問題視しているのは、感染研が1月13日に公表した変異株「オミクロン株」に関する第6報。感染研は「現段階でエアロゾル感染を疑う事例の頻度の明らかな増加は確認されず、従来通り感染経路は主に飛沫感染と、接触感染と考えられた」と明記している。
これに対し、専門家は質問状で「主たる感染の運び手はエアロゾル(ウイルスを含んだ微粒子)で、接触感染はまれであることは世界の科学界のコンセンサスになっている」と指摘している。WHOや米疾病対策センター(CDC)などは、主な感染経路はエアロゾル感染と飛沫感染で、接触感染は起きにくいとの見解を示している。
専門家代表の本堂毅・東北大准教授(科学技術社会論)は「世界では接触感染が起きるのはまれと考えられているのに、感染研は主な感染経路として、いまだに飛沫感染と接触感染を挙げている。国内のコロナ対策は感染研の見解を基に展開されており、このままでは無用な感染拡大を起こしかねない」と話している。
https://mainichi.jp/articles/20220201/k00/00m/040/145000c