2021年12月、京都大学のスーパーコンピューターがトラブルに見舞われた。学術論文に使う重要データなど、実に77テラバイト(TB)分のファイルが消失した。ITベンダーの担当者が実行中のスクリプトを不用意に更新したのが原因だった。本来はログ削除の処理が利用者のファイルを削除する誤動作を引き起こした。ミスを犯したITベンダーも問題だが、監督不十分だった京都大学の責任も重い。
「弊社100%の責任によりLustreファイルシステムのファイル消失の重大障害を来し、多大なるご迷惑をお掛けしたことを深くお詫び申し上げます」
京都大学が2021年12月28日に公表した「スーパーコンピュータシステムのファイル消失のお詫び」のお知らせには、大規模なデータ消失を引き起こした日本ヒューレット・パッカードが同大学宛てに提出した報告書がリンクされていた。「弊社100%の責任」という説明は、ITベンダー側の「完全降伏」ともいえる内容だ。異例の謝罪報告書はTwitterなどのSNS(交流サイト)でたちまち広がり、大きな話題を呼んだ。前代未聞のトラブルは一体、どうして起こったのか。
ソース
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01157/012700053/