首相、連合新年会に出席 参院選に思惑も自民
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岸田文雄首相(自民党総裁)は5日、東京都内で開かれた労働組合の中央組織「連合」の新年交歓会に出席した。現職首相の参加は平成25年の安倍晋三元首相以来9年ぶりとなる。首相は成長と分配の好循環を目指す「新しい資本主義」を掲げており、労組と一体となって賃上げ機運を高めたい考えだ。同時に夏の参院選を控え、立憲民主党最大の支援組織である連合に近づく思惑も透ける。
「これから始まる春闘では、新しい資本主義の時代にふさわしい賃上げが実現することを期待したい」
首相は会合であいさつし、連合が重視する賃上げの実現に政府も力を注ぐ考えを強調した。さらに昨年10月に就任した芳野友子会長を「(政府の会議で)さまざまなご意見をいただいている」と持ち上げた。
岸田政権発足後、政府・与党は連合との距離を縮めている。首相は肝煎りの「新しい資本主義実現会議」のメンバーに芳野氏を指名した。先月8日には芳野氏が自民党本部を訪ね、茂木敏充幹事長、麻生太郎副総裁とそれぞれ会談した。出席者によると、芳野氏は茂木、麻生両氏と意気投合し予定の時間を大幅に超えて話し込んだという。
連合幹部は「首相は分配政策を掲げており、連合との距離を詰める絶好の機会と捉えているのだろう」と語る。連合は立民の支援組織だが、芳野氏は立民と共産党との共闘を否定する。旧民主党が政権を失って9年を超える中、連合としても政府の政策に意見を反映させたい思いもある。
連合の組合員は約700万人に上るが、これまでも連合が支持する野党候補者がいない選挙区では、水面下で与党の支援に回るケースがあった。ある産業別労組幹部は「政策実現のためには与党との関係は重要だ」と打ち明ける。
「来る参院選は大変重要な選挙だ。ぜひ政治の安定という観点から、与党にもご理解とご協力をたまわりますよう心からお願い申し上げる」
首相はあいさつをこう締めくくり、会場の笑いを誘ったが、その場にいた野党幹部は顔をこわばらせていた。