市民権を持たない人に投票を認める理由
(CNN) ニューヨーク市議会に喝采だ。多様性の受け入れや代議制に向けた意義ある一歩を踏み出した。
12月9日、ニューヨーク市は市民権のない人に自治体選挙での投票権を与える全米最大の都市となった。ニューヨーク市は「Our City, Our Vote(我々の都市、我々の投票)」条例案を3分の2を超える賛成多数で可決した。この条例では、合法的な永住者で30日以上同市に在住する人は、市長や市政監督官、市議会などの自治体の公職選挙で投票権が認められる。条例は2023年1月に施行される。
市民権を持たない人々に自治体選挙で投票権を認めるのは法的に健全で賢い政策だ。これは地域社会を強化し、より多くの住民に対し自分の生活に影響を与える政治への投資を認めることになる。そして市民権を持たない人に投票権を認めることは、米国の伝統と理想に根ざしたものとなる。
誤解のないように言っておくが、ニューヨーク市の動きは不法滞在者に投票を認めるものではない。この条例が主に対象とするのは、グリーンカード(永住権)や就労許可証の保持者、不法入国した若者を救済する制度「DACA」の適用を受ける者などの合法的な移民だ。また、この新条例は市民権を持たない人に連邦選挙の投票権を認めるものでもない。
市民権のない人々の投票を認める最も強い根拠は、理解が最も簡単なものだ。米国では市民権のない人々約1500万人が合法的に暮らし、ニューヨーク市には約80万人が存在する。こうした我々の隣人は税金を払い、子どもを学校に通わせ、商売を始め、地域社会に貢献している。彼らも他の人々と同様に、リーダーを選び、自治体政治での発言権を得ることができてしかるべきだ。
市民権のない人に投票権を与えれば、市民活動への参加を促すこととなり、結果それを認めた都市を強化することにつながる。投票する人が増えるほど、リーダーや政策はその選挙区を正確に反映したものとなる。
ニューヨーク州の共和党はこの条例に対抗措置をとると誓い、「条例案が法令となるのを阻止するために必要なあらゆる法的措置」をとると述べてきた。だが、合衆国憲法は市民権のない者による投票を禁じていない。連邦最高裁は1874年、マイナー対ハッパーセットの裁判で「市民権は、すべての場合において投票権を持つための前提条件とされているわけではない」と確認している。
市民権のない人に投票を認めることは、新しいことでも、急進的なことでもない。そう知ったら人々は驚くかもしれない。市民権のない人々による投票は米国の建国にまでさかのぼる歴史がある。サンフランシスコ州立大学のロン・ヘイダック教授によると、1776~1926年まで、米国の自治体や州、一部の国の選挙で市民権のない人が投票でき、中には公職に就ける人もいた。
今日でも、ニューヨーク州の憲法は「すべての市民はすべての選挙で投票する権利がある」と定めているものの、市民権のない人は投票することができないとは言っていない。この区別は、今後予想されるニューヨーク市の条例に対する法廷闘争で重要となるだろう。
以下ソース
https://www.cnn.co.jp/usa/35181494.html
2021.12.31 Fri posted at 12:15 JST ロール・A・レイエス