倉庫に眠る大量の「アベノマスク」引き取らないの?安倍晋三事務所に聞いてみた
(前半省略)
◆地元有権者への「おすそ分け」には法の壁
マスクを着用し、首相官邸に入る安倍首相(当時)=2020年4月撮影
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マスクを着用し、首相官邸に入る安倍首相(当時)=2020年4月撮影
押し付け合いの様相も見えてきたアベノマスク。それならば、調達に向けて旗を振り、率先して着用した安倍さんが引き受けてもいいのではないか。
「こちら特報部」は安倍事務所にアベノマスクの引き取りを希望するか、問い合わせた。しかし残念なことに、回答をお願いした16日午後5時までにコメントは寄せられなかった。
ただ、安倍さんや事務所が国からアベノマスクを引き受けたとしても、扱いに困るかもしれない。地元の有権者に「おすそ分け」しようとすれば、寄付行為を禁じた公職選挙法に抵触しかねないからだ。
◆“価値がある”マスクを無償で得られるなら…
別の角度から問題を指摘したのが、神戸学院大の上脇博之教授(憲法)。行き場を失うマスクであっても、「安倍氏はアベノマスクには価値があると思っているはず。それを無償で得られるということになれば、政府による政治家への利益供与、政治家による私物化になってしまう」と皮肉っぽく語る。
それでも「国民感情からすれば、安倍氏がすべて引き取り、配送料も払ってほしいとなるだろう」というのが上脇さんの考えだ。
◆盟友の選挙区で配るならOK!?
では、政治家が公選法に抵触せずにアベノマスクを配る方法はないのか。
安倍政治を厳しく見てきた小野寺義象弁護士は「自分の選挙区以外、例えば盟友である麻生太郎氏、安倍政権で官房長官だった菅義偉氏の選挙区で安倍事務所が配布するならば、法律に抵触しないのではないか」と説明した。
いまだに続くアベノマスク問題。上脇さんは、再発の防止や責任の明確化のために、法制度の見直しを提案する。「地方自治体に対して住民監査請求や住民訴訟の手続きがあるように、国にも国民監査請求や国民訴訟のような制度を考えることが必要ではないか」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/149450
2021年12月17日 11時30分 東京新聞