東電のハードディスクから掘り起こされた重要メール
添田孝史 2021年12月9日
https://level7online.jp/?p=4722#
(一部抜粋)
東電福島第一原発事故前に東電社内でやりとりされていた電子メールを集めた捜査報告書を、法務省が2021年10月28日付で開示した[1]。東電から提出されたハードディスク(HD)から、メールデータ61通分を復元し、文書にしたものだ。2008年から2011年にかけて、東電内部で津波のリスクについてどのように認識していたか、そして外部の専門家に根回ししたり、他の電力会社に圧力をかけたりして、津波対策の遅れが露見しないよう工作していた状況がわかる。事故の原因を解明するための第一級の資料だ。そして、これらのメールを東電は政府や国会事故調には提出しておらず、さらに検察の初期の捜査でも利用されておらず、強制起訴された後の2017年になって指定弁護士によって発掘されたらしいことも示している。
東電のHDから掘り起こされたメールは全61通で、捜査報告書に添付されている。全てが興味深い内容だが、いくつかを紹介する[2]。
(写真2)2008年2月4日のメール
https://level7online.jp/wp-content/uploads/2021/12/%EF%BC%88%E5%86%99%E7%9C%9F%EF%BC%92%EF%BC%892008%E5%B9%B42%E6%9C%884%E6%97%A5%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB.png
「プラントを停止させないロジックが必要」2008年2月4日(開示文書のp.8)(写真2)
タイトルは「1F、2F津波対策」。東電土木グループGM(グループマネジャー)の酒井俊朗氏が、他のグループの社員らに送ったメール。メールの最後に、「津波がNGになると、プラントを停止させないロジックが必要」と書いている。酒井氏は、刑事裁判の証人尋問(第8回、2018年4月24日[3])で、指定弁護士にこのメールについて問われ、以下のように答えている[4]。
「津波がNGだというのを分かっていながら、中間報告で7設備が大丈夫だから大丈夫ですよと世間に対して安全だというのは、これはちょっと、何かうそじゃないかというのは、論理的にそうなるんじゃないかと」
(写真3)2008年8月11日のメール
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「世間がなるほどと言うような説明がすぐには思いつきません」(2008年8月11日、開示文書p.72)(写真3)
(写真4)2008年9月8日のメール
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「最終的に改造不要ということで乗り切れる可能性はない」(2008年9月8日、開示文書p.108)(写真4)