◆価格上昇に中長期的視点欠く
原因としては、機種本体が国産でも部品の多くは輸入に頼っているため、為替変動の影響を受けやすいことが挙げられる。防衛装備品は部品も独自仕様になりがちで、汎用品のように価格競争を通じたコスト抑制が難しい側面もあるというのが防衛省側の言い分だ。
一方、財務省は防衛省側が機体メーカーに下請け企業への部品発注を委ね、適正価格かどうか十分検証できていないと分析。民生品の使用割合を高め、調達先を多様化できるよう促している。
防衛装備庁の担当者は取材に対し、価格変動の要因は「契約の都度、確認している」と説明する。ただ確認するのは契約担当部署が中心で前回契約との比較にとどまる。価格上昇について中長期的な視点に欠け、組織全体で情報を共有していなかったとして、改善策を検討しているという。
分科会の臨時委員を務めるSMBC日興証券の末沢豪謙氏は、取材に「日本は(価格の妥当性を)チェックする専門部署がないから『言い値』で調達することになってしまう。民間ならあり得ない方法で、相当割高になっている可能性がある」と指摘。国の財政状況を踏まえ「賢い支出に努めなければ国民の理解は得られない」と話した。(川田篤志)
(おわり)