米アマゾン・ドット・コムは17日、英国のサービスで米ビザのクレジットカードでの支払いをできなくすると明らかにした。英国の利用者に対して2022年1月19日に取り扱いを停止すると通知した。理由について「ビザのクレジット決済手数料が高いため」と説明している。
取り扱い停止の対象は英国内で発行されたビザのクレジットカードだ。マスターカードなど他社のクレジットカードや、ビザを含むデビットカードは引き続き利用できる。該当する顧客には支払手段の登録情報を変更するよう呼びかけた。
アマゾンの広報担当者は「最高の価格を顧客に提供しようと努力している企業にとって、カード決済のコストは障害であり続けている。技術の進歩につれて下がるべきなのに高止まりし、上がってさえいる」と述べた。扱いを止めるビザについて「高額な決済コストが続いている」と指摘した。
ビザの広報担当者は声明で「アマゾンが顧客の選択肢を制限しようとしていることに非常に失望している。誰の得にもならない」と不満を示した。1月以降も利用可能な状況が続くよう努力するといい、見直しを働きかけるとみられる。
アマゾンは「世界の決済の風景は急速に変化している」と付け加え、速く安く包摂的な支払い手段の追加に取り組むとも強調した。8月には後払いサービスの「BNPL(バイ・ナウ・ペイ・レイター)」で米アファーム・ホールディングスと提携し、支払い手段に加えていくことが明らかになった。アマゾンの今回の決定は決済の勢力図や手数料水準にも影響する可能性がある。
17日のニューヨーク証券取引所ではビザの株価が急落した。前日比で一時6%下げ、2月上旬以来約9カ月ぶりの安値水準をつけた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR17ELX0X11C21A1000000/