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米バイデン政権は石油戦略備蓄の放出を中国などに要請した。ホワイトハウスのサキ大統領報道官が18日、記者会見で「いくつかのパートナーと協議している」と明らかにした。ロイター通信によると、要請先には中国と日本、韓国、インドが含まれている。
18日のロイターの報道によると、中国当局は石油の備蓄放出を検討しているという。米国の要請を受けた動きかは不明だ。米国と中国が協調して石油備蓄を放出すれば、初めての事例となる。
原油価格は1バレル80ドル前後で推移しており、ガソリン高につながっている。備蓄の放出で相場を沈静化させたい方針だ。米国は2022年11月に中間選挙を控え、ガソリン価格に敏感な有権者の不満をそらしたい思惑もある。米政府は石油輸出国機構(OPEC)プラスに増産を要請しているものの、拒否されている。
1970年代の石油危機を経て、各国は石油の戦略備蓄を開始し、米国は世界最大の約6億バレルを抱えている。国際エネルギー機関(IEA)は加盟国に輸入量の90日分の備蓄を求めている。米国を含むIEA加盟国が協調して石油備蓄を放出したのは2011年が最後。中東の民主化運動「アラブの春」でリビアの石油生産が滞ったためだ。中国とインドはIEAに加盟しておらず、自主的に備蓄している。