消費税が増税されてから間もなく2年がたつ。コロナ禍もあって増税分の負担が増す消費者だけでなく、売り上げに打撃が出る事業者にとっても負担は大きいが、じつは2年後には多くの個人事業主にとって、とりわけて負担の大きい制度変更が追い討ちのように迫っている。
それが2023年10月から始まるインボイス制度(適格請求書等保存方式)である。
納税分、実収入が減る
インボイス制度とは何か。
消費税の納税には、「仕入税額控除方式」という方法が使われている。これは消費税の課税事業者が、年間売上高の消費税分から、年間の仕入時に支払った消費税分を控除して納税する仕組みだ。しかし、現状では軽減税率や、年間売り上げ1000万円以下に認められた免税事業者の存在で、国庫に入る税金は少なくなり、正確性に欠けていた。
そこで今回、導入されるインボイス制度では、事業者は実際に支払った消費税額の証明となる、登録番号の付いたインボイス(請求書や領収書)の保存が義務付けられるようになった。
企業と取引する個人事業主(免税事業者)が登録番号付きのインボイスを発行するには、税務署で手続きをして、消費税の課税事業者になっていなければならない。現在約500万人いるとされる免税事業者は、その多くが新たに課税事業者とならざるをえなくなり、消費税の納税分、実収入を大きく減らすことになりそうだ。
この課税事業者登録の受付がいよいよ今年10月から開始される。
ウーバー配達員や個人契約者への打撃
今後、影響を受ける免税事業者は多岐にわたりそうだ。冒頭の増本さんのようなウーバー配達員や個人タクシー、建設の一人親方や零細農家、保険の代理業やITエンジニア、さらにはシルバー人材センターと契約して働く高齢者などである。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87416