「硫酸男」スピード逮捕のウラで…実はJRが「顔認証カメラ」を導入していた
「駅名は明かせませんが、約110の駅のコンコースなどに設置したおよそ5800台の監視カメラの一部に、顔認証機能を搭載しました。マスクをつけていても、不審者の顔を判別できる能力があります」(JR東日本広報)
JR東日本が、ひっそりと「顔認証監視カメラ」を導入したことをご存じだろうか。駅利用者の顔と、登録されている犯罪容疑者や不審者の顔をリアルタイムで照合し、検知しているというのだ。
五輪開幕に合わせて、7月から導入していた。顔データの出元や最終的な情報提供先は「答えられない」と言うものの、警察とみて間違いない。
先月24日夜、東京・港区で男性に硫酸をかけた男は、JR品川駅から新幹線に乗って逃走した。男は28日にスピード逮捕されたが、この捜査にも顔認証監視カメラが活用されたとみられる。
捜査に役立つなら、問題ないと思うかもしれない。しかし、顔の画像を無差別に収集されるのはあまり気持ちのいい話ではない。ITジャーナリストの三上洋氏が言う。
「気がかりなのは『誰がどんな基準で顔リストを作っているのか』『集めたデータが何日間保存されるのか』が不明な点です。
欧米では一部の国や州で同様の監視カメラの規制が始まっています。一方、日本ではまだ規制が一切なく、データの利用状況を監視する第三者機関もない。悪用されても気づけないのです」
さらに心配なのは、情報漏洩のリスクだ。映像のデータはJR東日本が委託する警備会社が管理・チェックするという。
「考えたくないことですが、もし委託先の会社に悪意ある人や外国人スタッフがいて、そこから情報が漏れた場合、責任をとれるのでしょうか」(前出・三上氏)
顔認証監視カメラは、あくまでも五輪・パラリンピック期間中の警戒用というが、今後、警察がこの技術を放っておくとは思えない。日本も中国なみの監視国家になってゆくのか。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87231